LYMPHEDEMA SURGERYリンパ浮腫の手術

リンパ浮腫の外科的治療では、浮腫の状態や患者様の適用により、リンパの流れを改善する顕微鏡下リンパ管細静脈吻合術(LVA手術)」「リンパ節移植術(LNT手術)」、むくみのボリュームを減らすための「脂肪吸引術(SAL)」などの手術を行い、症状の改善をはかります。現在の標準治療では「顕微鏡下リンパ管細静脈吻合術(LVA手術)」を行うことが一般的ですが、二種類の手術を組み合わせた、ハイブリッド手術を行うこともあります。

リンパの流れを改善する手術

1. LVA手術

顕微鏡下リンパ管細静脈吻合術
Lymphaticovenular Anastomosis
【おもに早期のリンパ浮腫の方】

リンパ管の流れが悪い部位よりも上流で、顕微鏡を使って近くの静脈と吻合し、バイパスを作成する手術です。
滞ったリンパ液を流す出口を新たに作成することで、浮腫を改善させます。圧迫療法やリンパドレナージなどと組み合わせて行うことでより効果的なリンパ排液が期待できます。
局所麻酔・小切開により、皮膚と脂肪組織のみを操作するため、体の負担は非常に軽い手術で、手術時間は3〜5時間程度です。症状にもよりますが、吻合は1肢につき3〜6カ所程度で、当院では「日帰り手術」を行なっており、入院の必要はございません。

主なLVA手術の切開の箇所と通常のリンパ管の流れ イメージ

リンパ管と静脈のつなぎ方はいくつかあり、代表的なものとして以下右図のように「側端吻合」、「端々吻合」などがあります。

側端吻合

LVA手術の側端吻合 イメージ

端々吻合

LVA手術の端々吻合 イメージ

2. LNT手術

リンパ節移植術
Lymph Node Transplantation
血管付きリンパ節移植術(VLNT)
Vascularized Lymph Node Transplantation
【おもに早期のリンパ浮腫の方】

健康なリンパ節を浮腫のある手足に移植することで、水分の吸収を良くしてむくみを改善するための手術です。
全身麻酔で行い、手術は時間は5~6時間程度です。術後は7~10日間ほど入院が必要にです。

リンパ節移植術/血管付きリンパ節移植術 イメージ

※こちらの手術は提携医療機関で行います。

むくみのボリュームを減らすための手術

脂肪吸引術

むくみのある部位のボリュームを減少させるために、美容外科で行われている手術手技を取り入れて、小切開から直径3~4mmの吸引カニューラを挿入して皮下脂肪を吸引する方法です。全身麻酔と局所麻酔を併用して術中の出血と術後の痛みを軽減します。
傷跡は小さいのですが、広範囲の脂肪を操作するので侵襲度が高く、合併症の可能性も比較的高いので、適応は慎重に行います。
また、術後のケアが大切で、辛抱強く複合的治療などを続けていくことが重要です。
デメリットもある手術ですが、蜂窩織炎の頻度が下がったり、術後の圧迫をしっかり続けることで10年以上もの期間、減らしたボリュームの維持も期待できます。

脂肪吸引術 イメージ

※こちらの手術は提携医療機関で行います。

ハイブリッド手術

患者様の症状・適応によっては、前述の2つの手術方法「リンパの流れを改善する方法」と「むくみのボリュームを減らすための手術」 を組み合わせて手術を行うことがあります。
ステージⅡの後期などで脂肪沈着が見られていても、良好なリンパ管が残っているケースでは、脂肪吸引術とLVA手術を同時に行うことが有効な場合があります。脂肪吸引だけではリンパ菅の流れが将来的に悪くなり、浮腫が悪化することが考えられるため、脂肪吸引を行なった上で、その末梢でLVA手術を行います。
LVA手術は体への負担が少ないので、脂肪吸引術と同時に行うことが可能です。

※ハイブリッド手術を行う場合は提携医療機関で行います。