HEAD SHAPE of BABY赤ちゃんの頭のかたち外来(ヘルメット治療)
赤ちゃんの頭のかたち外来について
赤ちゃんの頭のかたちは、成長とともに少しずつ変化していくものですが、中には向き癖や姿勢などの影響で、頭の左右差や扁平、絶壁などが目立つ場合もあります。
「このまま自然に治るの?」「治療が必要なの?」とご不安に感じている保護者の方も多いのではないでしょうか。
当院では、赤ちゃんの頭のかたちに関するお悩みに専門的に対応する「頭のかたち外来」を設けております。頭蓋形状の評価を行い、必要に応じて生活指導やヘルメット治療など、個々のお子さまに最適なサポートをご提案いたします。
生後3か月(首が座ってから)~8か月の乳児が対象となります。ヘルメット治療をする場合、生後6か月以降は改善率が乏しくなりますので、赤ちゃんの将来を見据え、早期のご相談(できれば生後4〜6か月くらい)が大切です。少しでも気になることがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
当院のヘルメット治療はGUMZE MEDICALの「ReMO baby」(頭蓋形状矯正ヘルメット)を使用して行います。
※このページの資料、画像、データの一部はGUMZE MEDICALの許可を得て使用しています。
赤ちゃんの頭の変形について
変形の種類

変形性斜頭とは
上から見た時に左右非対称です。頭蓋骨が外からの圧力によって変形し、後頭部が片側だけ平らになる状態を指します。主に、向き癖や胎児期の環境によって生じることが多いです。顔や耳の左右差も見られる場合もあります。

変形性短頭とは
上から見た時に前後径が短い頭の形、いわゆる絶壁頭です。妊娠中や出生後の向き癖による外因性の変形です。赤ちゃんが同じ方向を向いて寝る時間が長いと、頭の重みで後頭部が平らになり、短頭になることがあります。

変形性長頭とは
上から見た時に前後径が長い頭の形です。位置的頭蓋変形の一種で、主に寝返りや向き癖など、外からの圧力によって頭の形が変化することで起こります。
原 因:向き癖や寝癖と病的変形
上記のように赤ちゃんの頭の形がゆがむのは、ほとんどの場合向き癖や寝癖によるものです。しかし上記以外にも、ごく稀に頭蓋縫合早期癒合症や水頭症、キアリ奇形などによる病的変形もあります。
頭蓋縫合早期癒合症とは


赤ちゃんの頭は脳の成長のため複数の骨が緩やかに結合しています。
発育とともに赤ちゃんの頭は成長していきますが、頭蓋骨には、成長に合わせて広がるための「縫合(ほうごう)」と呼ばれる骨の継ぎ目があり、この縫合はおおよそ成長期までにゆっくりと癒合します。
ところが、この縫合が早期に癒合してしまう場合があり、そうすると頭蓋骨が成長できなくなってしまい、成長する脳が窮屈な状態となります。このような状態が続くと、頭蓋骨や顔面の変形(舟状頭蓋、三角頭蓋、斜頭蓋、短頭蓋など)を引き起こします。頻度的には出生2,000〜2,500人に1人と言われています。
赤ちゃんの頭の形が気になるようでしたら、早めに当院へご相談ください。
ご家庭でできる対処法
赤ちゃんの頭の形が気になったら、生後3ヶ月程度までの期間は、以下の方法をお試しください。
いつも同じ向きを向かないようにする

授乳時やベッドにいる時の向きに気を配りましょう。

興味を引くおもちゃなどを均等に配置しましょう。
赤ちゃんの緊張緩和・発達促進向き癖の解消

赤ちゃんが活動しているときは、うつ伏せになる時間(タミー・タイム)を作りましょう。
赤ちゃんと保護者がおなかを付けて遊ぶことで、頭を支える頸部の発達が促進されます。
適切な診断・効果的な治療のためには、
何より早期の受診が大切です。

受診に適した月齢:生後4〜6ヶ月
ヘルメット治療は、開始が早ければ早いほど効果が認められています。遅くとも8ヶ月までの受診をお薦めします。
また、該当しない月齢の場合でもご遠慮なくご相談ください。
ヘルメット治療ついて
ヘルメット治療は、頭蓋縫合早期癒合症などの病変によるものではなく、赤ちゃんの頭の形がゆがんでいる場合に、専用のヘルメットを装着して、頭蓋骨の成長を矯正する治療法です。赤ちゃんの頭の骨はまだ柔らかいため、向き癖や姿勢などによって頭の形がゆがんでしまうことがあります。ヘルメット治療では、個々の赤ちゃんの頭の形に合わせてオーダーメイドで作られたヘルメットを装着し、頭蓋骨の成長を促すことで、ゆがみを改善します。
ヘルメットを装着しない場合

床面に当たっている部分は成長が鈍化し、その部分のみ平坦化。周りの他の部分はグングン成長し、全体的に歪みを助長。
ヘルメット形状で誘導した場合

ヘルメットの形状に守られているため、平坦な部分も発育が促進し、バランスのよい頭の形に。


赤ちゃんの頭のかたち外来〜ヘルメット治療のながれ
形成外科医の院長主導のもと、診察・治療を進めてまいります。
STEP 1 ご予約
まずは、赤ちゃんの頭のかたち外来(ヘルメット治療)をご予約いただきます。
赤ちゃんの頭のかたち外来(ヘルメット治療)
毎週 火曜日:午前11:00〜12:00

STEP 2 初 診〜レントゲン検査
診 察(当院)保険診療
ご予約いただいた日時に、まずは当院にて初回の診察(写真撮影、頭囲測定 CI、CA、CVAIの測定、治療方針の概略を説明など)を行います。
レントゲン検査(光生病院)保険診療
続いて、提携医療機関(光生病院)にてレントゲン撮影を行います。赤ちゃんにも安心の低被曝レントゲン撮影などにより、病的な変形(頭蓋縫合早期癒合症など)でないか、ヘルメット治療の対象かどうか判断するためのデータを作成します。
毎週 火曜日:14:00〜17:00
所要時間:約60分
(放射線技師2名が対応いたしますので検査日時が限られております。ご了承ください。)
※午前に当院での診察の後、同日午後、提携医療機関でレントゲン検査が可能です。
レントゲン検査の後、撮影した画像をCD-Rにてお渡ししますので、次回の当院での診察の際に必ずご持参ください。

当院では、クラニオメーターという器具でゆがみの測定と重症度判定を行います。

光生病院にて行うレントゲン撮影(4枚)は赤ちゃんにも安心の、低被曝にて行います。(撮影に要する時間は10分未満です。)
頭部レントゲン撮影による放射線被ばくに関して
頭部単純レントゲン撮影による被ばくは撮影1枚あたり0.1mSvとごくわずかです。(日本での年間自然放射線被ばく量:2.1mSv)
機器や技術の進歩により「頭部単純デジタル撮影」を行うことで、以前の1/4の線量となっています。頭部以外は完全にシールドして被ばくを避けるようにしています。
STEP 3 再 診
初診時にご予約いただいた日時に、当院へ再診にお越しください。
保険診療と自費診療の区別のため、初診とは別日での受診となります。レントゲン検査で撮影した画像のCD-Rをご持参いただきレントゲンを確認します。(レントゲンでは判断しかねる場合は、再度CT撮影を行うこともあります。)
お持ちただいた画像を元に、頭のかたちが病気ではない「位置性頭蓋変形(向きぐせ)」か、病気によるものかを判断します。
A:位置性頭蓋変形(向きぐせ)の場合
ヘルメット治療自費診療が可能です。
ヘルメット治療をご希望の場合・・・
ヘルメット作成
専用のヘルメットを作成します
専用の装置を用いて赤ちゃんの頭の形を3Dスキャナーでスキャンして、ヘルメット作成に必要なデータを収集し、そのデータを元にヘルメットの採型を行います。
所要時間:約5分
ヘルメットは代金のご入金確認後、約2週間程で完成します。(ヘルメット治療の費用はこちら)


B:頭蓋縫合早期癒合症などの場合
出生2,000~2,500人に1人と稀ですが、頭蓋縫合早期癒合症などの病変が見つかった場合は、適切な医療機関、施設(岡山大学病院)を紹介いたします。
よくあるご質問とその回答
(資料提供:GUNZE MEDICAL)
頭の変形
- 頭の変形は自然になおりますか?
- 成長にともない軽減されることがほとんどです。しかし重症例では変形が残ってしまうことがあります。病的変形の場合は外科的手術が必要になることもあります。まずは当院にお気軽にご相談ください。
- 頭の変形が残っていると将来問題がありますか?
- インターネットなどで検索すると「まっすぐ走れない」「肩こり・腰痛の原因」など不安になる情報が多く見つかりますが、医学的な根拠は示されていません。
幼少期の発達遅延が見られる場合もありますが、学童期には改善される場合がほとんどです。
日常生活では「帽子がまっすぐかぶれない」「髪型が制限されてしまう」などの不便が生じる場合があります。
- 少しだけ頭の形がゆがんでいるけれど、気軽に相談してもいいのでしょうか?
- 早期に適切な診断、治療を受けることが重要です。
少しでも気になる様でしたら当院までご相談ください。
- なぜ早く診察に行かないとダメなのですか?
- 治療開始が早ければ、治療効果が高いと言われております。
また、病的な変形の場合や別の疾患が隠れている場合もあります。
早期発見・早期治療が重要なため少しでも気になることがあれば当院までご相談ください。
ヘルメット治療前
- 十分な治療効果が得られるのでしょうか?
- 学術的に効果が実証されております。
※参 照:
JMA JORNAL 「Evaluation of the Molding Helmet Therapy for Japanese Infants with Deformational Plagiocephaly 」2021.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33575503/Plastic and Reconstructive Surgery「Molding Helmet Therapy for Severe Deformational Brachycephaly: Position of Eurion and Therapeutic Effect」2023.
https://journals.lww.com/plasreconsurg/Fulltext/2023/07000/Molding_Helmet_Therapy_for_Severe_Deformational.30.aspx
- 1日の装用時間はどのくらいですか?
- 1日23時間です。最初の約2週間は慣らし期間で少しずつ装用時間を長くします。
- ヘルメットの装用開始月齢は?
- 生後4ヵ月~8ヶ月(できれば4ヵ月~6ヶ月推奨)です。該当しない場合でも、ご遠慮なく当院までご相談ください。
- ヘルメットの治療期間はどのくらいですか?
- 約5ヶ月~6ヵ月です
- 成長に合わせてヘルメットを作り替える必要はありますか?
- 当院で採用している「ReMO baby」は調整できますので、基本的には1つのヘルメットで治療が可能です。


